暗号資産ウォレット用語集
自分で暗号資産を持つときに出会う 34 語を、平易な言葉で説明します。それぞれが資金の安全にとって何を意味するのかも添えました。
ウォレット
- エアギャップ・ウォレットエアギャップ・ウォレットは、あらゆるネットワークから物理的に切り離された端末に秘密鍵を置きます。Wi-Fi もモバイル通信も Bluetooth もケーブルもありません。取引は QR コードとして出入りするため、鍵そのものが外へ出ることはありません。
- コールドウォレットコールドウォレットとは、インターネットにつながっていない端末に秘密鍵を置いて暗号資産を保管するやり方の総称です。反対がホットウォレットで、鍵はオンラインのパソコンやスマートフォンの中にあります。
- ホットウォレットホットウォレットとは、秘密鍵がインターネットにつながった端末に保存されている暗号資産ウォレットのことです。ブラウザ拡張機能、スマートフォンのアプリ、デスクトップのアプリ、取引所のアカウントなど。すぐに署名できるので便利です。
- ハードウェアウォレットハードウェアウォレットは、秘密鍵を自ら生成して保存し、内部で取引に署名する小さな専用端末です。Ledger、Trezor、Keystone などが知られています。パソコンが取引を組み立て、端末が署名します。
- 暗号資産ウォレット暗号資産ウォレットは、ブロックチェーン上の資金を動かす鍵を保管するソフトウェアまたはハードウェアです。コイン自体はチェーン上にあり、ウォレットはそれがあなたのものだと証明する秘密鍵を持ち、取引に署名します。
- ブラウザ拡張機能ウォレットブラウザ拡張機能ウォレットは、Chrome や Brave などのブラウザに入れるウォレットです。ウェブページに provider を追加し、dApp がアドレスを読み、接続を求め、署名を依頼できるようにします。
- ノンカストディアルウォレットノンカストディアル、つまり自己管理のウォレットとは、秘密鍵を自分で持つウォレットのことです。資金を凍結したり、動かしたり、失くしたりできる会社はいません。同じ理由で、リカバリーフレーズを失えば誰もアクセスを取り戻してはくれません。
- ウォッチオンリーウォレットウォッチオンリーウォレットは、あなたのアドレスや公開鍵は知っていますが、秘密鍵は知りません。残高、履歴、入金を表示し、取引を組み立てることはできますが、署名はできません。
- マルチチェーンウォレットマルチチェーンウォレットは、Ethereum、Solana、Bitcoin など複数のブロックチェーンの口座を、ひとつのリカバリーフレーズから管理します。チェーンのファミリーごとに鍵とアドレスの書式が異なり、どれも同じシードから導かれます。
鍵と署名
- シードフレーズ(リカバリーフレーズ)シードフレーズは、リカバリーフレーズやニーモニックとも呼ばれ、ウォレットのマスターシークレットを表す 12 語または 24 語の並びです。どのチェーンでも、ウォレットの秘密鍵とアドレスはすべてここから導かれます。
- 秘密鍵秘密鍵は、あるチェーンのひとつのアドレスを動かす秘密の数字です。取引を承認する署名を作ります。秘密鍵からは誰でも公開鍵とアドレスを計算できますが、その逆はできません。
- ウォレットアドレスウォレットアドレスは、送金してもらうために人に伝える公開の識別子で、公開鍵から導かれます。共有しても安全です。書式はチェーンごとに違い、Ethereum と EVM ネットワークは 0x...、Bitcoin は bc1...、Tron は T...、Solana は base58 の文字列です。
- QR コード署名QR コード署名は、データ回線をいっさい使わずにオフライン端末で取引に署名するやり方です。未署名の取引をオンラインのパソコンが QR コードで表示し、オフライン端末が読み取って署名し、別の QR コードとして返します。
- メッセージ署名メッセージ署名とは、取引ではなくテキストに秘密鍵で署名することです。チェーン上では何も動きません。サイトはこれをアドレスの所有証明に使います。たとえば Sign-In with Ethereum(EIP-4361)でのログインです。
- EIP-712(型付きデータ)EIP-712 は、平文ではなく構造化されたデータに署名するための Ethereum の標準です。リクエストには、支払先や金額、期限といった名前付きの項目が並び、どのコントラクトとどのチェーン向けかを示す domain が付きます。
- BC-URBC-UR(Uniform Resources、Blockchain Commons 発)は、取引や PSBT、アカウントの鍵といったバイナリデータを QR コードに符号化するための標準です。ひとつのコードに収まらないときは、動く一連のフレームに分割されます。
セキュリティと詐欺
- ブラインド署名ブラインド署名とは、ウォレットが読める形で表示できない取引やメッセージを承認することです。見えるのはハッシュか生の 16 進データだけ。何をするのか分からないまま署名することになります。
- トークン承認トークン承認(アローワンス)は、あなたのトークンを決められた上限まで動かしてよい、という許可をスマートコントラクトに与えるものです。dApp があなたの代わりにスワップや預け入れをするには、これが要ります。
- ウォレットドレイナーウォレットドレイナーは、たいてい偽サイトや乗っ取られたサイトに置かれた悪意あるコードで、あなたの資産を攻撃者へ移すために作られた署名をウォレットに求めます。出来合いのキットとして売られているため、ドレイナーのサイトは数千単位で現れます。
- 暗号資産のフィッシング暗号資産のフィッシングとは、本物を装ってリカバリーフレーズを打たせたり、有害な取引に署名させたりする偽サイト、偽メッセージ、偽広告、偽アプリのことです。よく似たドメイン、偽のサポート窓口、検索連動広告が主な入口です。
- アドレスポイズニングアドレスポイズニングは、あなたがよく使うアドレスと先頭・末尾がそっくりのアドレスから、ごく少額の送金や偽のトークン転送を送りつける詐欺です。あとであなたが履歴からそれをコピーして送ってしまうことを狙っています。
取引と DeFi
- ガス代ガス代、つまりネットワーク手数料は、取引を取り込んでもらうためにネットワークの検証者へ払うものです。チェーン自身のコイン(Ethereum なら ETH、Solana なら SOL、Tron なら TRX)で払い、取引に必要な処理量とネットワークの混み具合で変わります。
- nonce(ナンス)Ethereum と EVM ネットワークでは、nonce は口座から送られる取引の連番です。最初が 0、次が 1、2 と続きます。ひとつの nonce は一度しか使えず、取引は順番に処理されます。
- dAppdApp、つまり分散型アプリケーションは、その処理がブロックチェーンのスマートコントラクトで動くアプリ、たいていはウェブサイトです。ウォレットを接続して、取引、貸し借り、ステーキング、投票、ミントを行います。
- スワップスワップは、同じブロックチェーン上でトークンを別のトークンに交換することです。分散型取引所か、注文を複数の取引所に分けるアグリゲーターを通します。あなたが署名するひとつの取引で決済されます。
- ブリッジブリッジは、価値をあるブロックチェーンから別のブロックチェーンへ移します。たとえば USDC を Ethereum から Solana へ。設計によって、片側でトークンをロックしてもう片側で解放するか、移動先で待機している流動性から支払います。
- 無期限先物(perps)無期限先物(perps)は、資産の価格を追いながら満期を迎えない契約です。証拠金と任意のレバレッジでロングまたはショートの建玉を持ち、ロングとショートのあいだで支払われる資金調達率が、契約価格を現物価格に近づけます。
- トークンロッカートークンロッカーは、トークンを預かり、決められた条件(期日、価格、権利確定のスケジュール)でのみ解放するスマートコントラクトです。プロジェクトは、流動性プールのトークンやチームの配分を早く売れないようにロックするために使います。
チェーン別
- PSBTPSBT(Partially Signed Bitcoin Transaction、BIP-174)は、未署名の Bitcoin 取引をあるツールから別のツールへ渡すための標準形式です。インプットとアウトプット、署名機に必要なデータを運び、取引が完成するまで署名を集めます。
- Bitcoin OrdinalsOrdinals は、bitcoin の最小単位であるサトシに 1 枚ずつ番号を振り、個別に追えるようにする仕組みです。サトシに刻まれたデータ(画像、文章、トークン)はインスクリプションと呼ばれ、Bitcoin の NFT と説明されることもあります。
- トラストラインStellar と XRP Ledger では、トラストラインは、特定の発行者の特定の資産(たとえば USDC)を持つことへの、あなたの口座の同意です。追加するまで、その資産は受け取れません。
- メモとデスティネーションタグメモは、Stellar と Cosmos のチェーンで支払いに添える短い覚え書きです。XRP Ledger では、同じ役目をデスティネーションタグという数字が果たします。取引所は多くの顧客にひとつの共通アドレスを使い、これを頼りに正しい口座へ入金します。
- IBCIBC(Inter-Blockchain Communication)は、Cosmos のチェーン同士がトークンやメッセージを送り合うためのプロトコルで、二つのチェーンのあいだに開いたポートとチャネルを通ります。渡ったトークンは、向こう側では ibc/... という名称で現れます。
- authz 権限付与authz は Cosmos SDK のモジュールで、ある口座(付与者)が別の口座(被付与者)に、決められた範囲と期限のなかで特定のメッセージを代理で送ることを許します。自動複利のサービスは、これを使って報酬を再ステーキングします。